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JLPT N2 徹底対策レッスン
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JLPT N2 徹底対策レッスン
JLPT N2相当

論説文を読み解く鍵!生態系の回復から学ぶ事象の予測・対比・変化の論理的表現技法

⏱️ 推定読了時間:約15分 / 📊 難易度:中上級(JLPT N2レベル)

【学習の前に】

自然環境の保全や生態系の復元に関する評論文・論説文では、単なる事実の羅列にとどまらず、潜在的な可能性、当初の予測との乖離、多角的な物事の二面性、そして緩やかな推移などを論理的に組み立てる表現が多用されます。本レッスンでは、これらの複雑な因果関係を正確に読み取り、また記述するためのN2必須文法をマスターしましょう。


What you’ll learn:

  • 客観的な可能性の有無を明確に分かつ「〜得る/〜得ない」の表現力
  • 期待や予測と逆の結果になった事実を際立たせる「〜に反して/〜に反する」の構文
  • 調査や議論の対象となる主題を硬い表現で提示する「〜に関して/〜に関する」の応用
  • 一つの事象が内包する利点と欠点などの二面性を表す「〜反面/〜半面」の対比技法
  • 専門的な分野や判断の基準となる側面を限定する「〜上」の視点定義
  • 中長期的な社会・自然の変化のプロセスを描写する「〜つつある」の活用法
  • 特定の対象に縛られず、波及する範囲の広がりを示す「〜に限らず」の理解

読解テキスト:湿地をよみがえらせる計画

ある自治体では、かつて開発によって失われた湿地帯を元の姿に復元するという大規模なプロジェクトが進められている。環境学者らの見解によれば、湿地を本来の状態に戻すことで、一度は姿を消した多様な水鳥や昆虫の貴重なすみかを効果的に回復させ得ると考えられている。

しかしながら、早期の着工を望む多くの住民の期待に反して、計画は遅々として開始されなかった。対象エリアの土地利用のあり方をめぐり、行政と地域住民との間で深刻な意見の対立が生じたからである。湿地は自然の遊水池として洪水を防止する効果が大きく期待される反面、夏場に害虫が大量発生して衛生環境が悪化するのではないかという懸念も根強い。すなわち、理論上は環境保全において極めて有効だと評価されるものの、実際の生活圏への影響を不安視する声も少なくないのである。

それでも、根気強く話し合いを重ねる中で地域一帯の理解は確実に広がりつつある。この先進的な試みは、一つの地域に限らず、環境破壊に悩む他の多くの自治体でもこれからのモデルケースとして大いに参考にされる可能性を秘めている。

1. 【〜得る/〜得ない】

意味・使い方
「〜できる」「〜という可能性がある」という客観的な可能の有無を論じる表現です。能力的にできるかどうかではなく、状況や理論のうえで「その事態が起こる確率がゼロではない」ことを意味します。否定形の「〜得ない(えない)」は、「絶対にその可能性はない」という強い確信を伴います。

場面:論説文・ニュース・論文・オフィシャルな分析

接続

動詞ます形接続 動詞ます形(ます無し) + 得る(うる/える)/ 得ない(えない)
(例:起こり(ます) + 得る → 起こり得る / あり + 得ない → あり得ない)

例文

① 地球温暖化による海水温の上昇は、これまでの予測を超えた激しい気候変動を引き起こし得る。
② 徹底的な調査を行ったため、これ以上のデータ漏洩は常識的に考えてあり得ない。
⚠️ Common Mistake
個人の日常的な技能や、その場での物理的な許可を表す「可能」の場面で使うと不自然になります。
× 私は英語を上手に話せるので、通訳の仕事をやり得ます。
○ 私は英語を上手に話せるので、通訳の仕事をすることができます
練習問題: どんなに綿密に構築された防犯システムであっても、人間の介在する余地がある限り、予期せぬエラーは( )。

1. 起こり得ない 2. 起こり得る 3. 起こりつつある

正解:2
解説:エラーが発生する可能性がゼロではないという客観的な状況を説明しているため、「起こり得る」が正解です。
2. 【〜に反して/〜に反する】

意味・使い方
周囲の予測、一般的な期待、当事者の意向、あるいは規定されているルールや法律などと全く「反対の結果」や「そぐわない状態」になることを表します。

場面:評論・ニュース・ビジネス報告・法律関係

接続

名詞(N)接続 N + に反して/に反し / に反する + 名詞
(例:周囲の予想 + に反して / 意向 + に反する決定)

例文

① 市民の強い期待に反して、新しい自然保護区の設置計画は白紙に撤回されてしまった。
② 生態系の調和に反するような過度な森林伐採は、将来的に深刻なツケとなって人間に返ってくる。
⚠️ Common Mistake
「人の心理(予測・期待・意向)」や「規範(法律・方針)」以外の、単なる自然現象の対比などには接続できません。
× 大雨に反して、私たちは山登りを決行することにした。
○ 大雨にもかかわらず、私たちは山登りを決行することにした。
練習問題: 事前の厳しいシミュレーションの結果( A )、その外来種の繁殖スピードは極めて緩やかであったため、周囲は( B )。

1. A:に反して / B:安堵の胸をなでおろした

2. A:に関して / B:危機感を募らせた

3. A:に反して / B:パニックに陥った

正解:1
解説:「厳しい結果を生むという予測」と「実際は緩やかだった」という反対の事実を繋ぐため、Aには「に反して」が入り、結果として人々は安心したという文脈になるため1が正解です。
3. 【〜に関して/〜に関する】

意味・使い方
「〜について」の硬い表現で、調査、研究、議論、問い合わせなどの対象となるコアな話題やテーマを提示します。後ろに名詞が続く場合は「〜に関する+N」の形をとります。

場面:ビジネス文書・学術論文・ニュースの公式発表

接続

名詞(N)接続 N + に関して/に関しては / に関する + 名詞
(例:環境汚染 + に関して / 水質 + に関するデータ)

例文

① 今回の希少昆虫の生態調査に関して、行政から公式な声明が出された。
② 再生可能エネルギーに関する最新の論文を集めて精読している。
⚠️ Common Mistake
後ろの名詞を直接修飾する際、「に関して」の形のまま繋いでしまうエラーに注意してください。
× 地球温暖化に関してレポートを提出してください。
○ 地球温暖化に関するレポートを提出してください。
練習問題: 住民から提出された環境破壊( )苦情に対して、企業側は真摯に対応する義務がある。

1. に反する 2. に関する 3. の上では

正解:2
解説:後ろに名詞である「苦情」が連なっているため、修飾の形として適切な「に関する」が正解です。
4. 【〜反面/〜半面】

意味・使い方
ある同一の事象や性質について、「プラスの面とマイナスの面」「便利な部分と危険な部分」といった、対照的な二つの側面が同居している状態をわかりやすく提示します。

場面:論理的な解説・長短の評価・政策への批判

接続

各品詞の普通形 V普通形 + 反面 / いA普通形 + 反面 / なA(な/である) + 反面 / Nである + 反面
(例:経済が潤う + 反面 / 有益な + 反面)

例文

① 近代的なダムの建設は、水害を防いで電力を供給してくれる反面、川の生態系を一変させてしまう。
② 都市部の緑化計画は人々に癒やしを与える反面、維持管理のために莫大な予算が必要になる。
⚠️ Common Mistake
全く異なる二つの事象や別の場所の出来事を単純に比較する際には使用できません。あくまで「一つの対象が持つ裏表」に用います。
× この地域は雨が多い反面、あっちの地域は乾燥している。
○ この地域は雨が多い一方で、あっちの地域は乾燥している。
練習問題: 化学肥料は植物の生長を劇的に早める( )、長期にわたって使い続けると土壌の体力を奪う。

1. に限らず 2. 反面 3. に関して

正解:2
解説:肥料の「即効性(メリット)」と「土壌劣化(デメリット)」という同一対象の二面性を述べているため「反面」が適当です。
5. 【〜上】

意味・使い方
「〜の観点から見て」「〜の側面・領域においては」という意味で、議論の焦点や判断を行うにあたっての限定的な視野を提示します。

場面:法律・仕事の役割・健康管理・科学的な考察

接続

名詞(N)接続 N + 上(じょう) / 上の + 名詞 / 上は(じょうは)
(例:理論 + 上 → 理論上 / 法律 + 上 → 法律上)

例文

① 計算のうえではこの計画で絶滅を防げるはずだが、歴史上のデータを見ると現実は甘くない。
② 外来種の持ち込みを厳しく制限することは、生態系の安全上、当然の措置である。
⚠️ Common Mistake
すべての名詞と自由に結合できるわけではありません。基本的には「理論、法律、健康、歴史、職業、教育」といった、概念やシステムを表す特定の抽象名詞と結びつきます。
× 彼は私の学校上、もっとも頭が良い友人だ。
○ 彼は私の学校の中で、もっとも頭が良い友人だ。
練習問題: 絶滅危惧種の捕獲は、現行の法律( )厳しく禁止されており、違反者には罰則が科される。

1. に関して 2. 上 3. に反して

正解:2
解説:法律というシステムの側面・視点から禁止されているという意味を持たせるため、「法律上」とするのが適当です。
6. 【〜つつある】

意味・使い方
ある特定の変化が、一瞬ではなく「現在進行形で少しずつ推移している」という途上の状態を表します。社会問題の動向や自然環境の長期的な変化をレポートする際に不可欠な表現です。

場面:環境レポート・マスコミの報道・学術的な動向説明

接続

動詞ます形接続 動詞ます形(ます無し) + つつある
(例:回復し(ます) + つつある → 回復しつつある / 温暖化が進み(ます) + つつある)

例文

① 市民による地道な清掃活動の実を結び、かつて死の川と呼ばれた水質も改善されつつある。
② 世界中の多くの原生林が、砂漠化の進行によって急速に失われつつあるのが現状だ。
⚠️ Common Mistake
「少しずつ変化が進む動詞(増える、減る、変わる、消えるなど)」に接続します。日常の単発的な動作の継続に使うと間違いになります。
× 私は今、明日提出するレポートを書きつつある。
○ 私は今、明日提出するレポートを書いているところです
練習問題: 長年の保護政策の結果、絶滅の危機に瀕していたツルの個体数は、緩やかに( )。

1. 回復し得ない 2. 回復しつつある 3. 回復した反面

正解:2
解説:「緩やかに」という言葉から、変化が少しずつ現在も進行していることが読み取れるため、「回復しつつある」が適合します。
7. 【〜に限らず】

意味・使い方
「〜という特定の範囲だけに限定されず、もっと広い別の全体や他のものにもすべて同じ事象が当てはまる」という、包括的な範囲の広がりを示します。

場面:論説の一般化・規則の適用範囲の説明・社会的なメッセージの提示

接続

名詞(N)接続 N + に限らず
(例:専門家に限らず / アジア地域に限らず)

例文

① 酸性雨による被害は、発生源の周辺地域に限らず、風下に位置する数百キロ離れた他国へも拡大する。
② 自然を愛する心は専門家に限らず、現代社会に生きる市民全員が持つべきモラルだ。
⚠️ Common Mistake
意味が真逆である「〜に限り(限定)」と混同しないようにしてください。
× この優待パスは、学生に限らず誰でも利用できます。だから学生だけが使えます。(論理破綻)
○ この優待パスは、学生に限り利用できます。(=学生だけ)
練習問題: 大気汚染の弊害は都市部に( )、気流に乗って農村地帯や森林の植生にも悪影響を及ぼす。

1. 関して 2. 上は 3. 限らず

正解:3
解説:「都市部だけでなく、それ以外の場所にも広く」という範囲の拡張を明示する文脈であるため、「限らず」が正解です。
総合問題
問: 以下の評論文の空欄( A )および( B )に入る最適な組み合わせを一つ選びなさい。

「地球の資源枯渇に関する最新の研究報告( A )、人類の過剰な消費活動は地球の再生力を遥かに上回っている。この危機的な状況は特定の先進国( B )、開発途上国を含む地球全体が連帯して早急に解決すべき最優先の課題と言えるだろう。」

1. A:に反して / B:に反する
2. A:に関する / B:上
3. A:から見ると / B:に限らず

正解:3
解説:( A )は研究報告という客観的なデータ・資料を「判断の根拠」に据えて意見を述べているため「から見ると(または〜から見て)」が自然です。( B )は「先進国だけでなく、その他の国々も広く」という包括的な範囲の広がりを示しているため、「に限らず」を選択する3が正解となります。
【学習のまとめ】

生態系の復元やグローバルな環境問題を論じる論説文では、一筋縄ではいかない複雑な関係性を正確に把握する読解力が問われます。今回のレッスンで学んだ、可能性を示す「得る」、予想を覆す「に反して」、二面性を暴く「反面」、特定の領域を縛る「上」、進行を捉える「つつある」、そして境界を広げる「に限らず」といった強固なロジックを形成するN2文法をマスターし、より深い読解力を養っていきましょう。

よくある質問 (FAQ)

Q1. 「〜得る」の読み方は「うる」ですか、「える」ですか?
A. 辞書形としては「うる」「える」の両方が認められますが、現代の書き言葉では「〜得る(うる)」が使われることが多いです。ただし、後に「ない」が続く否定形の場合は、必ず「〜得ない(えない)」と発音・表記しなければならないルールがあるので注意してください。
Q2. 「〜に反して」と「〜に代わって」は混同しやすいですが、どう違いますか?
A. 「〜に反して」は本レッスンで学んだ通り、予想や意向と『逆の結果』になることを示します。一方、「〜に代わって(にかわって)」は、「これまでの代表者に交代して、別の者がその役割を果たす」というチェンジや代理を意味する全く別の文法です。
Q3. 「〜に関して」と「〜をめぐって」の論文での適切な使い分けは?
A. 「〜に関して」は、関連する話題をニュートラルかつ広く提示する表現です。一方、「〜をめぐって(を巡って)」は、そのテーマを中心にして、周囲の人々の間で「対立、議論、競争、噂」などが激しく巻き起こっているという、争いや議論の焦点を強調したい場合に限定して使われます。
Q4. 「〜反面」と「〜一方で」は完全に同じ意味として使って良いですか?
A. 同一の事象が持つ相反する性質(例:便利な反面、危険だ)を述べる場合は置き換えが可能です。しかし、「〜一方で」はそれだけでなく、「A国では環境投資が進む一方で、B国では開発が優先されている」というような、異なる2つの主体の独立した社会現象を広く並列して対比させる際にも綺麗に機能します。
Q5. 「〜つつある」と「〜かけている」はどう違いますか?
A. 「〜つつある」は、客観的かつ社会的な、目に見えて少しずつ動いている変化のプロセスに用いるのが自然です。「〜かけている(動詞ます形+かける)」は、「その変化の直前、あるいはその動作の途中で止まっている」という、未完成の物理的な状態に焦点が当たります(例:死にかけている魚、書きかけのレポート)。

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