ダブルリミテッド現象から子どもを守る:バイリンガル教育の成功への鍵

子供をバイリンガルに育てたいとき、「二重制限」を避ける方法を解説します。

ダブルリミテッド現象とは?

日常生活に必要な言語能力はあるのに、学習場面で使う言葉が理解できない子どもはたくさんいます。ダブルリミテッド現象とは、日本語の習慣が遅れているために、両方の言語が十分に発達していない「ダブルリミテッド」な子どものことを指します。セミリンガルという言い方もあります。

日常会話では両方の言語を話すことができるが、

  • 本などの高度な内容が理解できない
  • 抽象的な内容が理解できない
  • 年齢相応のレベルでない

など、どちらの言語も低いレベルです。 友達と日本語で話すことはできるが、学校の授業は理解できない。

high school student thinking
日常生活に必要な言語能力を身につけた(=生活言語を習得した)と安心していても、学習に必要な言語指導を行わなければ、学力不振に陥り、場合によっては不登校につながることも珍しくありません。

ダブルリミテッドの原因

「学習言語」が育っていないことが原因です。学習言語とは、「授業で理解するための言語理解」のことです。この学習言語の能力は、言葉を聞き始めてから約5~7年かけて徐々に発達していきます。生活言語は比較的習得しやすいのですが、思考に使う抽象的な言語や学習言語は習得しにくいのです。

three languages thank you

ダブルリミテッドの例

Case 1

例えば、アメリカに住む日本語母語の日本人の家庭に生まれ、家庭外で日本語に触れる機会がない場合、その子が「年齢に応じた」日本語能力を身につけることはかなり難しいです。家庭では日本語が母語であったにもかかわらず、幼稚園に入園すると、いきなり母語とは異なる言語環境に置かれ、多大な心理的ストレスがかかります。特に、母語は2~5歳の間に完成すると言われています。この時期に母語が発達していないと、学齢期になったときに全体の言語習得の遅れにつながる可能性があります。学年相当の漢字を習得できないため、その後の学習に支障をきたす。算数では、九九の独特の読み方に戸惑い、掛け算が苦手になってしまう。また、高学年や中学生になると、教科書に掲載される漢字が増え、日常会話に登場しない言葉が多くなるため、学習意欲が低下することがあります。

Case 2

例えば、7歳でアメリカに移住した日本語母語話者の子どもが、現地の英語学校に通っている場合、移住後数年間は日本語よりも英語の方が強いと思われます。しかし、英語力が伸び、日本語力が低下(または停滞)すると、どちらの言語も年齢に見合ったレベルに達していないダブル・リミット現象に陥る可能性があります。日本語で話すことが不便になり、かといって英語も自由に使えるわけではないので、子どもにとっては一時的な心理的ストレスになることもある。この状態が続くと、学習が難しくなるだけでなく、自信喪失につながる可能性もあります。

ダブルリミテッド現象の対処法

保護者や日本語教師は、子どもの性格や周囲の環境に応じて、適切に日本語能力を育成することが大切です。