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「omotenashi:おもてなし」の意味と使い方

Omotenashi tea

日本では古くから、相手に敬意を持ち尽くす「おもてなし(omotenashi)」という文化が根付いています。

東京オリンピックの招致プレゼンテーションで滝川クリステルさんがフランス語のスピーチの途中で「o・mo・te・na・shi」と表現した場面を見たことがある人もいるかもしれません。

元々日本人は親切な国民性で知られていますが、特に他者を自分の自宅などに招き入れる際は、全力で相手に尽くすように意識づけられているのです。

この「omotenashi」という言葉は、どのような意味を持ち、どのように使うべきなのでしょうか?

この記事では、そんな「omotenashi」の意味と使い方について解説していきたいと思います。

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「omotenashi」とは?

おもてなし(omotenashi)は、「表なし」という言葉が由来となっています。

「表」がないということは、つまりは「裏」もないことになりますよね。

相手に対して見返りを求めたりなどせずに、ただただ相手に喜んでもらいたいと願い、そのために行動することなのです。

この「omotenashi」の文化は、平安時代(西暦794年~1185年)にはすでにあったと言われています。

深く関わっているのが、「茶道(sadou)」です。

茶道は、緑茶の異種である碾茶(tencya)を粉末にしたものにお湯を加えてかき混ぜ、訪れた人に飲んでもらう文化です。

和室(畳が敷かれた部屋)で正座をして行う儀式となりますが、最高のお茶の葉に飲みやすい温度のお湯をそそぎ、空気を含ませるように混ぜていきます。

その場にいる人を心地よくするため、準備を整え丁寧に作ることで、客人をもてなすのです。

  • 相手の好みを見極めること
  • 段取りよく行うこと
  • 花を自然に飾ること
  • 時間にゆとりを持つこと
  • 客人に心を配り思いやること

このように、現代の「omotenashi」の本質はすでに1,000年前に出来上がっていたのです。

マナーやサービスとは違う

「omotenashi」は、「マナー」や「サービス」といったものと似ていると感じる人もいますが、それは似て非なるものだと言えます。

マナーは、あくまでも「最低限守るべきこと」を徹底する意味となりますし、サービスは接客などの行動を提供することで対価を受け取るものです。

見返りを求めずにただただ相手が心地よく過ごせるように努力する「omotenashi」とは違った意味となるわけです。

「omotenashi」は、「hospitality」と訳されることが多く、ほぼ同じような意味とはなりますが、正確には若干違いがあります。

実際に日本に来て「omotenashi」を受ければ、その違いを感じ取ることができるはずです。

「omotenashi」の使い方

「omotenashi」という言葉自体は、日常であまり使う場面が多いとは言えません。

それゆえに、日本に滞在していても、あまり耳にする機会はないでしょう。

言葉に出す必要もなく、日本人に当たり前に備わっている感覚といった方が良いかもしれません。

会話ではあまり使用しませんが、文章などでは使う場面もあります。

例を出してみましょう。

「omotenashi」の例文

  • 温かい「omotenashi」で知られるホテルだ。
  • ○○さんの「omotenashi」には感謝しかありません。
  • 「omotenashi」いただきありがとうございます。
  • 全力で「omotenashi」させていただきます。
  • たいした「omotenashi」はできないけど遊びに来る?
  • 「omotenashi」いただいたお礼にこれをプレゼントします。
  • 私共が心を込めて「omotenashi」したいと思います。

「omotenashi」はこのような使い方をします。

Omotenashi tea 3

「omotenashi」の仕方

もしも日本に滞在している期間に、友人や同僚を自宅に招く際には、ぜひ全力で「omotenashi」してみましょう。

まず意識しなければならないことは、「仕事」になってはいけないということです。

相手に心地よく過ごしてもらおうと意識すると、やるべきことを頭の中で常に考えてしまい、自然と眉間にシワが寄ってしまいます。

そうなると、楽しくなさそうな表情となってしまい、招いた人も気を遣ってしまうかもしれません。

「来てくれたことが嬉しい」という感情を表に出し、笑顔でいることが重要です。

その笑顔も「omotenashi」のスパイスの1つとなるのです。

相手の好きな食べ物や飲み物を用意し、部屋の掃除や換気を行い、快適に過ごせるようにします。

招き入れた後は、「ゆっくりくつろいで」と一声かけ、頑張り過ぎない程度に食べ物や飲み物を提供し、その場の空気を明るくするように会話を率先して進めましょう。

これらができれば、十分に「omotenashi」ができていると言えるでしょう。

まとめ

今回は、「omotenashi」の意味と使い方について解説してきました。

「omotenashi」は、見返りを求めずに相手に心地よくなってもらう行動のことです。

日本人には当たり前のように備わっている感覚なのですが、その親切さに感動する外国籍の人も多かったりします。

ぜひ日本を訪れた際は、「omotenashi」を受けることはもちろん、「omotenashi」を実践してみてはいかがでしょうか?

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